祝! 再開院 

先日の東北大震災で被災した友人(山内先生)が施術所を再開院されました。

岩手県山田町で開業していたのですが、3/11の大地震と巨大津波で自宅・施術所は全壊、全焼。
しかし、磨き上げた治療技術力をベースに、今回新たに施術所を再開されました。

山内先生とは遠絡療法の勉強会で知り合い、仲良くさせていただいています。
足底板療法、加圧トレーニング、遠絡療法を極められており、学会での発表などもされているようです。

岩手県にお知り合いのある方は是非お知らせください。


施術所名 = 山内接骨院
住  所 = 岩手県北上市有田町11-32
電  話 = 0197(63)6505
ホームページ = http://www.yamauchi-sekkotsuin.com/index.html

スゴイ治療法が ・・・ !!

久々に書き込みます。
 
今年の初めから研究していた治療法の大枠が完成しました。
 
これは、一時的な筋損傷(筋だけではないのですが)におけるパワーダウンを回復させることを目的としたものです。
 
身体を運動機能させる時にはさまざまな筋が共同で協調して行われています。すなわち、筋同士のバランスが非常に重要であるわけです。
ある動作をおこなうとき、共同筋群のうちのある筋が飛び抜けてパワーを出力すれば、全体のバランスは崩れてしまい、目的とした動作をうまく行えないだけでなく、他の筋に無理な負荷を要求するため、損傷につながります。

 
逆に、ある筋が何らかの理由により要求されるパワーを出しきれないときは他の共同筋がバックアップすることで何とか乗り切れるようになっていますが、許容量を超えた時には同様にバランスが保てなくなり、機能低下に陥り、それが過ぎれば損傷となります。
 
「このポーズが出来なくなった」「今までなかったようなギクシャクした感じがする」というのが「このポーズをすると痛い」「常に違和感や痛み・重だるさを感じる」といった具合に・・・・・・。
 
筋力の話を一つしてみます。
一個の筋はAという骨とBという骨に付き、両方を最短距離に近づける働きをします。
ここで、その筋の張力はどうやって生まれるかと言えば・・・
筋原線維と呼ばれる筋細胞が手をつないだものが生理的収縮を行うことがスタートとなります。
 
が、
 
この筋原線維はよく見るとAとBの最短コースとは微妙に違った方向を向いているのです。
 
さらに、a,b,c,,,,x,y,z とそれぞれに微妙に向きの異なる筋原線維の張力が合成されて方向および力が決定づけられます。
まるでピラミッド構造のように(ヒエラルキー)最終的にはAとBに加わる力と方向が生まれるのです。
 
えっ? AからBへの方向って一つじゃぁないの? と思われるでしょう。
 

ところがどっこい。
 
筋による張力には回転(運動機能では回旋)力が内蔵されているため、より重く強いパワーが発揮できるのです。
いわゆる、トルクですね。
 
これを瞬時に調節することでA → Bの「矢印」の中の微妙な向きや回旋力を作り出すことが出来るのです。
 
野球のピッチャーで言えば、同じ「球速」なのに「重い」やら「伸びがある」やら「力が乗っている」やらと表現されているアレですね。
 
で、話を戻せば、損傷時にはヒエラルキーでの損傷部分エリアのみの筋力減少で済んでいるものが、時間やら程度やらによってそのエリアが拡大して行き、あるレベルに達すると他の筋との協調性が保てなくなり、疼痛や機能障害を起こして来院ということになるわけです。
慢性機能障害などはこの一連の延長にあって、最初は正常だった組織にまで余計な負荷が加わって発生したものであり、最も連動する部分に順次派生して行くものと言えます。
 
ここで一案。
 
時間差や程度差によってパワーダウンする「正常組織」の機能を高めるにはどうすればよいか?
一つの筋原線維をどうこうするのは、治癒力に依存する他はありません。
でも、ベクトル合成される力(と方向性)は補正出来るのです。
 
まるで筋の持つ潜在能力を高め、引き上げるように。
 
そこで命名
 
この治療法を「S.P.M」と呼ぶことにしました。
 
「S」は潜在意識・潜在能力=Subliminal
「P」は潜在能力=Potential / 力=Power
「M」は筋=Muscle (実は筋以外にも有効)
 
もちろん、機能障害を起こしている筋を特定するだけではなく、その筋のどのエリアの合成力低下かを鑑別することが求められるのですが、エビデンスは着々と構築中ですので、興味のある方は是非一緒に研究・学習してみませんか?
 
 
 

新しく仲間入りした本

amazonで頼んでいた本が来ました!
「エンドレス・ウェブ」と「皮膚運動学」の2冊。
最近、筋膜の役割についていろいろと考えているところです。
「エンドレス・ウェブ」は筋膜の構造とつながりをメインテーマにしたもので、ロルフィング(結合織の偏りを調整するボディーワーク)を行うロルファーには必携の書のようです。
「皮膚運動学」は文字通り皮膚の運動状態から考えた治療法であり、ヒーリングテープ治療法に通じるものがありました。
新たに「二関節筋」という本を注文中です。
いやぁー、軟部組織は奥が深くてなかなか面白い分野だと再認識した一日でした。

高圧洗浄機はスゴイ!

10/17 日曜日。 晴れ。
 
今日は玄関のタイル汚れを大掃除。
 
今までも洗剤・漂白剤・デッキブラシなどでゴシゴシやっていたんですが、こびりついたカビ・コケの頑固なこと。
特に、目地やデコボコブロックなどの汚れはもう一体化してるのか?というくらいに取れる気配すら感じさせないものでした。
 
で、高圧洗浄機の登場!

             ←このタイプ

 
かれこれ15年以上の汚れがあららあららと言う間に取れる、取れる。
 
ついでに側溝のクリーニングにも挑戦しました。
ステンのグレーチングは重く、腰痛持ちの私には難敵であるため、ここ1〜2年は手つかずのまま。
ここはひとつ、グレーチングはそのままの状態で上から発射!
 
おぉ。スゴイ!

 
水圧のすさまじさに底面に付着しているコケのはがれる時の気持ち良さ。
なんか、長年の便秘が解消したみたい!
カビ・コケ・藻なんかは見た目も汚らしいんですが、実害はその悪臭。
慣れれば存外気にならないものですが、除去で臭いがなくなるとやっぱり良いもんです。
 
調子に乗って第二弾。
 
道路のわずかな隙間を狙って生えている雑草たちにも祈りを唱えながら発射!
おぉ、おぉ、土をえぐって根っこから弾き飛ばした。
手で引っこ抜いても途中で根が残ってしまうのに!
 
なんやかんやで5時間経ったら全身ドロだらけ。
 
でも、玄関まわりはピッカピカ。
 
自己満足の一日でした。
 
 

痛いとき、冷やす? 温める?

皆さんは冷シップ・温シップの使い分けに疑問を感じたことはありませんか?

どういう時に冷やすの?温めるの?
 
まずは、外傷に対する「貼り薬」全般について。
 
「貼り薬」には「パップ剤」と「テープ剤」がありますが、基本的に「消炎・鎮痛」が目的です。
それのみを目的としたものは「冷・温」の区別はありません。
市販ではサリチル酸メチルなどの有効成分が入ったものが多く、それにカプサイシンが加わると「温シップ」、l-メントールやdl-カンフルなどが加わると「冷シップ」となります。

それでは、局所が痛んだ時にはどうしたら良いのか?
 
骨折や捻挫など、組織破壊が起こると微小毛細血管の破壊が見られ、内出血が見られます。
つまり、患部局所に血流が増加することになるわけです。
血液は酸素とともに熱も運んでいるため、局所の組織温は高くなる。
腫れ上がってズキズキと痛むのは血液が破壊された患部組織に流れ込んで刺激している証拠です。
弱っている患部組織に熱と(組織内圧の増加という)刺激がダブルパンチで襲うわけです。
 
この時には患部周辺を思いっきり冷やす(アイシングする)ことで
 1.熱の吸収
 2.毛細血管の収縮による内出血の阻止
をはかります。
 
「ズキズキ・ジンジン」した感じが止まるまでこの状態で。

内出血が止まれば「ズキズキ・ジンジン」が無くなり、組織の破壊痛のみとなります。
皮膚の熱感や張り感、赤みが無くなって来た時期ですが「触ったり動かしたりするとかなり痛む」という状態です。

この位になれば、組織の回復の為に血液を供給し始めますが、まだ炎症熱が続いているために

局所=冷、局所よりも中枢部=温 を施します。
運動療法もこの頃から徐々に始めて行きます。

炎症症候が完全に引いたら
局所=温、局所よりも遠位部=温 を施します。
温めながら運動療法を行えばより効果的でしょう。
 
と、まぁ、簡単に説明すればこういうことですが、「冷」か「温」かわからない時にはどうしたらいいか?

その時には両方試してみて気持ちの良いほうをおこなってください。

体(患部)がきっと教えてくれますから ・・・・・・・・・
 






 

 





 


 

筋の話(ローテーター・カフ)

 
インナーマッスルと言えばその代表的なものが肩の深層筋で、その中でも下の4つが主役のように扱われています。
 
    ●棘上筋  ●棘下筋  ●小円筋  ●肩甲下筋
 
で、これら4つが合わさって腱板(ローテーター・カフ)を形成しています。
腱板とは文字通り「四つの筋の腱」が「合流して板状(プレート状)」になったもの。
 
では、この4つの独立した筋がどうして腱板を構成するの? 
 
そもそも腱板の存在理由は?
 
肩関節運動の主役である三角筋は屈曲運動・外転運動の大半を担っています。
肩の屈曲とは前方向に手を上げる動作。
肩の外転とは横方向に手を上げる動作。
指先まで伸ばして行うとわかるように、これは実にハードな仕事だと言えます。
従って、三角筋は上腕骨の遠位に付着して仕事効率を高めています。
 
              
 
 
これを簡単に書くとこんな感じ。
           
              
 
                   赤いのが三角筋
 
 
肩関節筋の主役である三角筋のみが働くと ・・・・・・・・・
 
              
 
                屈曲しようが、外転しようが、肩は「脱臼」を起こしてしまいます。
 
 
で、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋が働くと、
 
              
            
 
すなわち、これらの筋はどの方向への運動であっても肩関節が脱臼しないように働いてくれるんです。
 
4つの筋が微妙に調節しあって働く必要があるので、腱板という共同体を持って瞬時に反応するんでしょうね。
ま、ものが腱ですから腱紡錘による収縮抑制調節機能なんでしょうか。
 
 
 

筋の話(インナーマッスル)

 
深層筋(インナーマッスル)とは?
これは実に興味深く、おもしろい機能を持つ筋だと思います。
 
体表面からは窺い知ることは出来ないが非常に重要な骨格筋。
 
いくら鍛えてもゴツくならない。
鍛え上げれば細マッチョ。
 
今まで気づかれなかったその機能。
 
深層筋(インナーマッスル)は遅筋線維が主体となっていますが、その特性は ・・・・・・・・・
 
-長所
--持続力がある
-短所
--収縮反応が遅い
--収縮力が弱い
 
表層筋(アウターマッスル)と比較すればただ単に持続力があるだけのように思えます。
 
持久力を優先した代償に機動力を低下させたもの?
確かに、重力場での姿勢保持に関わる抗重力筋と同時に関節安定性を担保する深層筋(インナーマッスル)は持久力を要求されるのですが、それだけが特性でしょうか?

 
動物の動きは前後運動=屈伸運動(矢状面での運動)が主体となり、表層筋(アウターマッスル)がそれを行う。
しかし、他の運動との連動は抑制される。 
ただし、これは緊急時の動作であり、通常は不定な速度と不定な方向の連動の繰り返しとなります。
ここで、深層筋(インナーマッスル)が常に関与して来る。
 
 

さてここで次のような問いかけをしてみました。
「解剖学書に書かれている筋の作用は正しいのか?」
私の答えは
「一部しか書かれていない。重要なことが抜け落ちている。」
です。
骨格筋の作用には「個別の機能的作用」とともに「他筋との関係性」が重要な要素として考えられます。
 
浅層筋(アウターマッスル)は単一方向の運動しか出来ないことは前に書いた通りですが、それでは連動性が生まれない。

たとえ連動できても力・方向・スピードなどの微調整が即時対応しにくい。
 
そこに登場するのが深層筋(インナーマッスル)なのです。
 
自動車を例にすると ・・・・・・・・・
ロー、セカンド、トップと切り替えるのですが、シフトチェンジの際にはクラッチを使います。
このクラッチの役目を果たしているのが深層筋(インナーマッスル)。
自動車ではニュートラルを介する為に一時的ではあっても加速力ゼロの場合が生まれますが、筋の場合には深層筋(インナーマッスル)自体の機能により運動が持続しつつ方向転換が出来るのがスバラシイ !!
 
個性豊かな表層筋(アウターマッスル)は陽極なので協調出来ない。
ここに、陰極の深層筋(インナーマッスル)が登場することで陽極同士が連携出来る。
 
             
 
とつなぎ、必要なもののみジョイントさせる。
ただし、常に深層筋(インナーマッスル)に負担をかけていたり不自然なジョイントをさせようとするとその部が損傷を起こす。
これがインナーマッスル障害です。
 
 
また、同じ作用をする筋であってもわずかな方向性の違いや作用点の違いがあり、それらを微妙にコントロールするのも深層筋(インナーマッスル)の働きによるものではと推測出来ます。
 
まるで指揮者のように ・・・・・・・・・
 
 
ところで、深層筋(インナーマッスル)というのは単独名の筋だけでは無く、表層筋(アウターマッスル)の深層線維群もそれに当てはまります。
したがって、深層筋(インナーマッスル)の深層部はより遅筋線維が多くなっています。 
 

 
特に、回旋筋は単一運動方向では無く常に自由度の高い運動方向性を有している為、あらゆる筋のポテンシャルを同時に引き出すことが出来るのです。
 
ボクシングなどの格闘技で「ねじりを加える」とパワーが乗るというのもうなずけますよね。
また、太極拳の「等速度での円運動」が深層筋を使っているのも理解できるでしょう。
なかなか理にかなった運動。
結局、回旋運動をする筋のほとんどは深層筋(インナーマッスル)と言えるようです。
 
 
 
肘を曲げる動作を例にして浅層筋(アウターマッスル)のみの働きを考えてみると、
 
  1. 負荷をかけずに軽く少しだけ曲げる時 ・・・ 主動筋(浅層筋)の表層部または弾性力
  2. もう少し力を加えようとする時 ・・・・・・・・・・・ 主動筋(浅層筋)全体
  3. 中程度以上の負荷をかける時 ・・・・・・・・・・ 主動筋(浅層筋)+ 共同筋(浅層筋
  4. もっと負荷がかかる時 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 主動筋(浅層筋)+ 共同筋(浅層筋)+ 拮抗筋(浅層筋
 
となりますが、ここで深層筋(インナーマッスルを参加させると、
 
  1. 負荷をかけずに軽く少しだけ曲げる時 ・・・ 主動筋(浅層筋)の表層部または弾性力
  2. もう少し力を加えようとする時 ・・・・・・・・・・・ 主動筋(浅層筋)全体
  3.     ↓          ・・・・・・・・・・・・・・・ 主動筋(浅層筋)+ 主動筋(深層筋)
  4. 中程度以上の負荷をかける時 ・・・・・・・・・・ 主動筋(浅層筋深層筋)+ 共同筋(浅層筋
  5.     ↓       ・・・・・・・・・・・・・・・ 主動筋(浅層筋深層筋)+ 共同筋(浅層筋深層筋)  
  6. もっと負荷がかかる時 ・・・・・・・・・・・・ 主動筋(浅層筋深層筋)+ 共同筋(浅層筋深層筋)+ 拮抗筋(浅層筋
  7. 限界値直前 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 主動筋(浅層筋深層筋)+ 共同筋(浅層筋深層筋)+ 拮抗筋(浅層筋深層筋)
    
となるでしょう。
 
 
深層筋(インナーマッスル)が加わることで共同筋や拮抗筋のパワーが効率的に引き出せ、スムーズな連動を見ることが出来ます。
 
姿勢が悪かったり、意識的に無理な方向への運動を強制すれば深層筋(インナーマッスル)の働きが得られず結果的に充分な筋力を出せないか、ギクシャクした動きになるか、筋損傷を起こすかにつながることになると私は考えています。